漫画「親愛なる僕へ殺意をこめて」あらすじと最終回解説!(ネタバレ注意)登場人物と相関図もまとめました
2025.05.21投稿

漫画「親愛なる僕へ殺意をこめて」は2018年から「週刊ヤングマガジン」にて連載されていた大人気漫画。2022年には山田涼介さん主演でドラマ化もされています。
ここでは「親愛なる僕へ殺意をこめて」全般のあらすじ紹介しつつ、最終回を含めた解説を行っています。
初版発行日 | 2018年9月6日発売 |
作者 | 原作:井龍一 作画:伊藤翔太 |
巻数 | 全11巻(コミックス) |
ジャンル | サスペンス |
Wikipedia | 「親愛なる僕へ殺意をこめて」のWikipedia |
「親愛なる僕へ殺意をこめて」の登場人物
「親愛なる僕へ殺意をこめて」に出てくる登場人物は以下の通りです。
- 登場人物
- 浦島エイジ:主人公、父親の事件により幼少期よりイジメを受ける
八野衣エイジ:もう一人の主人公、浦島エイジの中に居る別の人格(通称:B1)
八野衣真:エイジの父親で殺人事件(LL事件)の犯人
雪村京花:エイジの恋人
真明寺麗:エイジの同級生
浦島亀一:エイジを引き取った育ての父親
浦島乙:浦島亀一の実の娘、戸籍上はエイジの姉
畑中葉子:SKALLによって売春を強要されている女性、LL事件に似た形で殺害される
白菱正人:大学教授で畑中葉子のパパ活相手。LL事件被害者、白菱凛の父親
桃井薫:LL事件を追っている女警部
猿渡敬三:桃井の上司
佐井社:ギャング集団「SKALL」のリーダー
ダム:ギャング集団「SKALL」の幹部メンバーの一人
トド:ギャング集団「SKALL」の幹部メンバーの一人
沢井:ギャング集団「SKALL」の幹部メンバーの一人
王川:ギャング集団「SKALL」の幹部メンバーの一人
ナミ:SKALLによって売春を強要されている女性、葉子の友人
一寸方作:フリーライターで八野衣真の事件を追い浦島エイジに粘着する
「親愛なる僕へ殺意をこめて」の相関図
以下は「親愛なる僕へ殺意をこめて」に登場する主要人物の相関図になります。

上記はホンシェルジュのサイトに掲載されていた相関図になりますが、要点を抑えており見やすいので引用させて頂きました。
以下にてプロローグ以降のあらすじを紹介したいと思います。
「親愛なる僕へ殺意をこめて」のあらすじ
「親愛なる僕へ殺意をこめて」本編のあらすじを紹介します。
1巻のあらすじ

プロローグ
主人公の浦島エイジは大学生。ある朝、自宅で目を覚ますと同じ大学の雪村京花が隣で寝ていた。
エイジは”なぜ京花が隣で寝ているのか”を把握できずに経緯を聞くと、京花へ告白した事やチンピラを殴って助けた事などを聞かされますが、エイジにはその間の記憶がありません。
その後もエイジは度々記憶が飛び、記憶のない期間に覚えのない行動を取るように。
そんなエイジには忌々しい過去がありました。
それは父親が”殺人鬼LL”こと八野衣真の息子であるということ…。
父親のせいで酷いイジメにあってきたエイジ。同級生の真明寺麗によって、二重人格である可能性を指摘されます。
ある日、エイジが住む市内で”殺人鬼LL”が起こした事件に酷似した事件が…。
その事件の被害者は、女性が酷い拷問を受けたような形で、遺体が発見されることに。
事件後エイジの部屋からは、血まみれの金属バットと数千万単位の現金が発見されます。
果たして殺人事件を起こしたのはもう一人の人格のエイジなのか…
SKALLに潜入するエイジ
エイジは自分のもう一つの人格を「B1」と名付けます(エイジ=A2の裏人格が名前の由来)
”B1が犯罪を犯したかもしれない”と怯えながら日々の生活を過ごす中で、女刑事の桃井によって事情聴取を受けます。
警察に連れていかれたエイジは、市内で起こった拷問殺人の被害者である「畑中葉子」という女性の写真を見せられます。
身に覚えのないエイジ。面識がないと答えると、桃井は「畑中葉子はエイジの恋人だ」と伝え、「エイジが八野衣真の息子、八野衣エイジである事実」を明かしずつ尋問を行います。
実際に面識のないエイジは怯えながら知らないと回答。その様子から警察はエイジをマークし始めます。
エイジは”B1の事で怯えながら生活する現状”から逃れつつ、”B1が人を不幸にする事件を起こさない為”、雪村京花と別れて単身で事件の真相を掴もうと動き出します。
B1が部屋に残した痕跡(電話番号)から電話をかけると、ギャング集団「SKALL(スカル)」のメンバーと繋がり、リーダーの佐井社らと一緒に行動を始めます。
佐井はSKALLメンバーに以下のミッションを通達します。
- 佐井のミッション
- 組織の金の運び屋が何者かに襲撃された。
襲撃犯は2人おり、6000万円の大金が奪われ、襲撃された仲間は金属バットでボコボコにされて病院送りとなった。
襲撃の手口や保管していた現金の在りかが把握されていた事を考えると、幹部以上の内部犯である可能性が高く、畑中葉子もこの事件に絡んでいた。
組織の裏切り者を見つけ、制裁を加えて殺害する。
2巻のあらすじ

SKALLに潜入するエイジ
エイジはなんとか佐井の疑いを避けると、街中で真明寺麗と出会います。
真明寺はエイジの自宅を捜査しており、金属バットやお金など事件に関わる証拠を突きつけると、畑中葉子殺害事件の捜査協力を一緒に行う約束をします。
エイジと真明寺は、葉子の友人だったナミを呼び出し事情を聞きます。
- ナミから聞いた事情
- 畑中葉子はナミよりも先にSKALLの元で売春婦をやっていた。一匹狼タイプで誰とも慣れ合わない人物だった、エイジと知り合った事から恋人関係になり、ナミとも仲良くなった。
「最近有力なパパが出来たため、他のお客は断っている」とナミに告げてきた。
事件当日の畑中葉子はナミと会う予定だったが、その途中で行方不明になってしまった。
ナミからの事情を聞いたエイジと真明寺。有力なパパが誰なのかを探る為、SKALLが運営するCLUBに潜入し、顧客情報を盗み出す事に成功します。
その情報から、有力なパパは大学教授を務める白菱正人という人物である事が分かります。
白菱正人はかつてのLL事件被害者、白菱凛の父親でした。
畑中葉子殺害事件の犯人は?
白菱正人の職場である大学に潜入したエイジ。
白菱と会う事に成功し、事件についての概要を聞き出します。
- 白菱正人から聞いた事情
- 白菱はLL事件の犯人を突き止めようと、八野衣真を調べていた中で売春ビジネスに辿り着き、そのビジネスをSKALLが引き継いでいる事を知る。
畑中葉子から情報を聞こうとしたが、途中でエイジが葉子と共にやってきた為、事情を話す。
すると、エイジから”SKALLを潰すための現金強奪襲撃の計画”を持ち掛けられ、エイジと2人で実行。
畑中葉子とは強奪実行を計画した後に別れたが、佐井によって暴行を加えられていた事を目撃した。
エイジが真相を知ったと同時に、佐井はエイジがCLUBからデータを盗んだことを把握。エイジに対して、脅しをかけてきます。
3巻のあらすじ

SKALLに潜入するエイジ
何としてもエイジをおびき出したい佐井。京花を拉致して、エイジを拘束、2人を殺害するために山の中へ運びます。
佐井によって殺害されそうになりますが、京花の機転によって何とか難を逃れることに成功。体内に埋め込んでいた発信機によって警察を呼び込むことに成功し、佐井は逮捕され、畑中葉子殺害事件は解決するのでした。
自分の為に命を張ってくれた京花に対して、B1の存在を明かすエイジ。
京花はエイジとB1の存在を受け入れ、正式に付き合う事になります。
雪村京花の過去
エイジは今後京花と付き合っていくため、”自分の中に棲むB1”と向き合う事を決めて、精神科に通うことに。
4巻のあらすじ

雪村京花の過去
精神科に通うエイジを元気づけたい京花は、自分の実家に招待します。
京花の実家に向かったエイジは、京花の母親から”京花は実施ではなく養子である”と聞くと、京花の過去を調べ始めます。
京花の過去を調べ、生い立ちの過酷さを知ったエイジ。京花に”内緒で過去を探ったこと”を謝罪すると、京花は自らが生まれ育った家へとエイジを招き入れ、自らの過去を語りだします。
- 京花が語った過去
- 京花の母親は京花には幼少期から激しい虐待を与えていた反面、京花の姉を溺愛していた。
その後、京花の姉は”LL事件”によって八野衣真によって殺害。その事で母親はノイローゼになり自殺。
結果として八野衣真によって救われた京花は彼を神格化することに。
八野衣真に憧れる京花。真の息子であるエイジに近付くと、関係を持っていた畑中葉子の殺害を決意。
母親の命令で服従をしていた父親白菱正人を脅し、LL事件に似せた殺人事件を実行させる。
(過去白菱正人がエイジに話した事情は嘘)
その後、白菱正人は生まれ育った家で自殺し、エイジの目の前に死体を見せる。
5巻のあらすじ

雪村京花の過去
京花の過去を受け入れられないエイジを前にして、京花は「殺してあげる」と告げて迫ります。
エイジのピンチにB1が姿を現すと、そこからシーンは暗転。
京花は血まみれで倒れており、エイジは警察に逮捕されていました。
逮捕されてからエイジは姿をくらまし、B1がエイジになり替わり生活を行っていました。
逮捕されて10日後。真明寺麗が面会に来てB1と対話し、それぞれの過去について話をします。
- 真明寺麗の過去
- 子供の頃、廃墟に潜入する事が好きだった。
たまたま潜入した廃墟に、近所でよく遊んでくれた瀕死の状態の白菱凛がいた。
凛を見捨てて逃げ出した麗。ずっと恐怖を抱えていた状態だったが、同時にLL事件の犯人を憎み、個人的に事件の捜査をしている。
6巻のあらすじ

雪村京花の過去
- 八野衣エイジ(B1)の過去
- エイジは自分に対して真摯に接してくれる父親を尊敬していたが、ある日殺人事件の犯人として祭り上げられていた。
母親は事件以降、精神が破綻。エイジに対して暴力を振るうようになり、結果首つり自殺をした。
エイジは父親は無実だと信じており、父親に罪を着せた真犯人に復讐する事を誓った。しかし、復讐心だけでは日常を過ごせない事を知り、もう一人の人格エイジを生み出した。
エイジは自分で捜査できる年まで情報収集に徹し、大学生になってから捜査を開始。
執念の調査で
『八野衣真の相棒である花坂が売春の顧客データを盗み、2~3後に行方不明になったこと』
『真のビジネス形態をSKALLが引き継いでいる事』
を突き止めます。
畑中葉子を使ってSKALLに入り込み、白菱正人と一緒に現金強奪に成功するも、雪村京花によって葉子を殺害されてしまった。
B1は畑中葉子への想いに応える事が出来ず、刑務所に入ってしまった事から抵抗する事を諦め、裁判によって裁かれることに。
B1は雪村京花への殺人未遂は認め、畑中葉子の殺人は否認。
しかし、良い判決は出ず、長期での服役が決まります。
LL事件の真犯人を求めて
刑務所に服役して一生を終えるかと思われていたB1ですが、刑務所を脱獄していました。
7巻のあらすじ

LL事件の真犯人を求めて
B1が向かったのは雪村京花の病室。
病室で対面した2人は、あの日の事件を振り返ることに。
- 雪村京花、傷害事件の真相
- 雪村京花はエイジに真相を告白した後、エイジの動揺ぶりに絶望してエイジ殺害を計画。
しかし、気が付くとエイジはB1に代わっており、血まみれの雪村京花が倒れていた。
意識が薄れていく京花に問い詰めるB1。京花は「LL事件の犯人に襲われた」と証言。
すぐに警察が駆けつけてきたことから、”B1は真犯人に嵌められてこの状況に陥った”と理解する。
LL事件の真犯人が父親ではなく、別に存在する事を確信したB1。
敢えて真犯人の策に乗り、京花殺害未遂の犯人となる事を決めた。
LL事件の真犯人に心酔する京花。B1を撃退しようとナースコール押すと、B1は窓から飛び降り逃げ出します。
廃墟に隠れたB1は、真明寺麗に居場所と突き止められて再会。二人で真犯人を捕まえる計画を立てます。
ここに現われたのは、真明寺麗を張っていた警部の桃井。
桃井は逮捕する素振りを見せますが「LL事件の真犯人が別にいる」というB1の意見を聞いて、真犯人逮捕に協力する事を申し出ます。
B1は八野衣真が死亡した現場に出向き、聞き込み捜査を行った結果、桃井の上司である猿渡捜査官に疑いをかけ、桃井を通じて呼び出しを行います。
8巻のあらすじ

LL事件の真犯人を求めて
猿渡を目の前にしたB1。推理した事件の真相を猿渡に突き付け、猿渡を追いつめていきますが、味方だったはずの桃井に裏切られ発砲されてしまいます。
ここで猿渡と桃井は事件の真相について語ります。
- 桃井と猿渡が語るLL事件の真犯人の真相
- 警察官となった桃井は、猿渡の部下として数々の事件捜査で活躍を見せる。
桃井は猿渡に目をかけられていたが、ある日同性愛者である桃井が少女と売春行為を行い、その写真をネタに殺人鬼LLから脅されている事を知る。
猿渡は殺人鬼LLが八野衣真だと断定して監禁。そのまま殺害してしまう。
そして八野衣真自害のシナリオを立てて、自作自演の犯行劇を成立させた。
桃井はDNA捜査から猿渡の犯行であることを掴むものの、自分の為に行った犯行であると理解して隠ぺい。
八野衣真と関係のあった花坂を殺害する。
桃井はB1の仲間である真明寺麗を追いつめ、猿渡と共に真明寺麗の命を狙います。しかし、発砲して倒れたはずのB1が桃井の背後に現われ、刃物を突き付けます。
B1は桃井に対して”LL事件の真犯人”を問います。抵抗した桃井は、B1によって刃物で刺されると、桃井は自ら橋から転落。死亡してしまいます。
桃井の死亡を見届けた猿渡は絶望し、拳銃を自らの口内に発砲し自殺。
LL事件に関するヒントは全てなくなり、真犯人への捜査は行き詰ってしまいます。
9巻のあらすじ

雪村京花を巡る攻防、そして結末
桃井、猿渡が死亡し、手掛かりをなくしたエイジ。
雪村京花が事件の真犯人を知る唯一の手掛かりだと判断し、京花の病室に設置した”隠しカメラ”で様子を伺うと、エイジが表の人格として生活していた4日間の雪村京花の行動を追い始めます。
有益な手掛かりを掴むことが出来ずに、病室の状態もしばらくは音沙汰なかった状態でしたが、ほどなく雪村京花が襲われる事件が起きます。
B1が仕掛けた隠しカメラには、B1を養子として引き取ってくれた浦島亀一の娘である浦島乙の姿が映っていました。
警察は浦島家を訪れ乙は逮捕。
乙は雪村京花殺害未遂の犯行を素直に認め、兄である浦島エイジへの積年の恨みがある事を自供します。
雪村京花は生前B1に「自分を襲った犯人はLL事件の真犯人である」と伝えていました。
乙が犯人であればLL事件の真犯人の年齢・世代的に矛盾してしまうため、”そもそもLL事件の真犯人などいなかった”という結論に達したB1。
自分の起こした復讐劇が様々な人間を巻き込み、「復讐のために利用した人間に復讐される」という結末に絶望します。
絶望の中、B1は病院に仕掛けた隠しカメラを何度も見直していました。
すると首を絞められている京花がある方向を指している事に気付きます。
後日、指している方向の場所を探索すると電話番号が書かれた1枚のメモを発見。
そのメモに書かれた番号に電話したB1は、オバタ・サチという人物に会うことに。そこで衝撃の事実を知ります。
- オバタ・サチから聞いた話とB1の推理
- オバタは15年前に北海道でスナックを経営しており、一時マナという女性を雇用していた。
マナは背格好からLL事件の被害者、白菱凛だった。
<以下はB1の推理>
真明寺麗が見た白菱凛は背格好の似た偽物で、白菱凛殺しのアリバイ工作に使われた人間だった。
白菱凛殺害時は北海道にいたという浦島亀一家族のアリバイが、この事実で崩れることに。また、北海道にいた浦島亀一が真犯人である事を裏付ける証拠になった。
B1は自分の家に戻り、浦島亀一に上記の推理を突きつけ「浦島亀一が真犯人である」と問い詰めると、亀一は自らがLL事件の犯人である事を自白。
10巻のあらすじ

雪村京花を巡る攻防、そして結末
- 浦島亀一が語った真実
- 浦島亀一は痛みを感じない人間。相手を拷問し痛めつける事で、生きている事を実感していた。
雪村京花の事件は亀一にとっても想定外の出来事。
独自にLL事件の真犯人を探っていた京花は”亀一の犯行”にいち早く気付き、B1(エイジ)と対面させようとしていたが、乙の妨害によって対面できなかった。
殺人鬼LLは、”八野衣真の背中に入ったタトゥーの文字を入れ替えてアナグラムを作れる”と判断したため、八野衣真をスケープゴートにする事に決めた。
会話を録音しておいたB1ですが、亀一が行った鬼畜の所業に対して感情が爆発。殺害しようと押さえつけますが、寸でのところが我慢して警察に送ります。
11巻のあらすじ

雪村京花を巡る攻防、そして結末
この逮捕によって世間に”LL事件の真犯人”が明かされます。
時は過ぎ、雪村京花の罪を裁く裁判が行われます。
証人として証言台に立ったB1は、”畑中葉子殺害事件の証言”をしつつ以下の発言をします。
- 八野衣エイジ(B1)が証言した内容
- 雪村京花は畑中葉子以外に、自分のもう一人の人格である浦島エイジを殺害した。
雪村京花は精神病院で二重人格者の人格を統合する方法について聞いており、畑中葉子殺害、白菱正人自害の真実を告げる事でエイジの人格を消し去り、B1の人格に統一しようとした。
エイジは自分を消そうとしている京花の狙いに気付いていた。
しかし、「過去に自分が京花に救われたこと」を恩に感じたエイジ。京花の過去の罪や自分を消そうとしていることを受け入れ、最後は自分で自らの人格(存在)を消し去った。
雪村京花はエイジを消して満足そうにしているが、エイジが心の支えだった事は紛れもない事実。
真犯人をB1に伝えようとしていた事からも、エイジに思いを寄せていた事が証明できる。
エイジが戻ってきてくれたらと考えているが、エイジは死んでしまった。
もう二度とこの世の中には戻ってこない。
B1の証言を聞いた京花はその場に泣き崩れるのでした。
後日、刑務所でB1と面会する真明寺麗。
彼女は「何故、浦島亀一を殺害しなかったのか」をB1に聞きます。
するとエイジは「復讐の連鎖を生むことが浦島亀一の狙いだった。あの場で殺害してしまうと自らが復讐の連鎖を繋ぐ存在になってしまう。この連鎖を拒みたかった」と回答します。
真明寺麗はその足で雪村京花との面会を行い、浦島エイジが生前残していた手紙を渡します。手紙を読んだ京花はビリビリに引きちぎってしまいます。
逮捕された浦島亀一は異例のスピードで死刑判決が下されるのでした。
物語は最終回へと向かいます。
「親愛なる僕へ殺意をこめて」最終回あらすじ・考察
刑務所にいる雪村京花。
彼女はエイジが生前、京花宛に送った手紙をビリビリに破いていましたが、その破いた破片をパズルのように組み合わせて元に戻していました。
外に出る時間を与えられた京花は「親子が金木犀の前で話している姿」を妄想しますが、実際に京花の目の前にあるのは刑務所の大きな壁
その壁を目の前にすると、幼少期に押し入れに閉じ込められ虐待されていた頃の記憶が甦ってくるのでした。
場面は変わり、畑中葉子の墓参りをするB1へ。
手を合わせるB1の後ろから「2年ぶりのシャバの空気はうまいか?」と真明寺麗が声掛けてきます。
探偵事務所を開業した麗は、B1の背後からクラッカーを鳴らします。
麗の行動を腐すB1ですが、咄嗟に自身の耳たぶを抑えます。
麗は「浦島エイジが驚くと反射的に耳たぶを触る癖がある」事を思い出し、エイジはB1の心の中でちゃんと生きているのだ、と感慨深い気持ちになるのでした。
そして、街の景色を見るB1の姿をみて「親愛なる僕へ殺意をこめて」は終了します。
「親愛なる僕へ殺意をこめて」最終回考察
「親愛なる僕へ殺意をこめて」の最後は主人公であるB1が刑期を終えて世間に出てきて、これから心の中にいるエイジと一緒に生きていくという姿を見せての終了となりました。
細かい事を話す前に一言伝えたいのは『とにかく素晴らしい作品だった』という点
ずっと復讐心に支配されていたB1ですが、LL事件の真犯人にである浦島亀一対して、殺害することなく最もダメージを与える司法に委ね、雪村京花に対してもエイジへの気持ちを掘り出して自制と反省を促す。
全てが綺麗にまとまったエンディングだったと言えます。
ストーリー自体も多くの犠牲者が生まれつつ、どんでん返しに次ぐどんでん返し。
これだけで読者を裏切る事が出来るシナリオは素晴らしいの一言、原作者である井龍一さんの才能が爆発した作品だと言えますし、シナリオの素晴らしさを活かす伊藤翔太さんの作画が加わり、最高の作品になっていました。
井龍一さんのその他の作品
原作を勤める井龍一さんは「親愛なる僕へ殺意をこめて」以外にも数々の作品を手掛けています。
今回の「親愛なる僕へ殺意をこめて」に代表されるように、他の作品も本格派のサスペンス漫画があったり、ちょっと笑える作品があったりとバラエティーに富んでいますが、どの作品も面白いので是非そちらも読んでみて下さい。
【降り積もれ孤独な死よ】
初版発行日 | 2021年11月22日発売 |
作者 | 原作:井龍一 作画:伊藤翔太 |
巻数 | 6巻(コミックス) ※2024年6月11日現在 |
ジャンル | サスペンス |
Wikipedia | 「降り積もれ孤独な死よ」のWikipedia |
あらすじ | 主人公である刑事冴木仁は窃盗の通報を受け、屋敷に向かい 屋敷を調べていくと地下室に子供13人分の遺体がある事を発見します。 屋敷の持ち主は灰川十三 人間嫌いで数年間、その姿を見せていない謎の人物だったが 灰川は児童虐待やネグレクトを受けた子供を保護し、育てている人物だった。 灰川は19人の子供を育てており、6人の子供は生き延びている中で 子供たちは警察官に対して、全員「灰川は犯人ではない」と意思を伝える 果たして、13人もの尊い命を奪ったのは灰川はなのか? それとも灰川を陥れようとする誰かなのか? |