
『ハカイジュウ』には、単なるパニックホラーの枠を超えた、人間ドラマが存在。
中でも読者の間で賛否を呼んだのが、「武重満先生」と「白崎直央」のふたり。
教師として登場するも性欲に飲み込まれて、本能のままに行動する武重――冷静で非情に見えながら、心に一本芯が通った白崎直央。
本記事では、この2人の行動や発言から見えてくる“本当の人格”や内面の葛藤を深掘りしていきます。
極限状況だからこそ浮かび上がる“人間の本性”に、あなたは何を感じるでしょうか?
ハカイジュウとは?
初版発行日 | 2010年8月6日発売 |
連載誌 | 月刊少年チャンピオン |
連載期間 | 2010年4月号~2017年11月号 |
作者 | 作者:本田真吾 |
巻数 | 全21巻(コミックス) |
ジャンル | サスペンス |
Wikipedia | ハカイジュウのWikipedia |
『ハカイジュウ』は、本田真吾による日本のホラー・サスペンス漫画で、2010年から「月刊少年チャンピオン」で連載。
突如として日常を襲う謎の“怪物”によって、人間社会が崩壊していく様子を描いたパニック系作品で、グロテスクかつ緊迫感ある描写と、正体不明の存在に追い詰められる恐怖感が見所。
王道のパニックホラー系でありながら、途中から濃いキャラクターが表に出てきてストーリーが大きく転換していく様も話題に。
ハカイジュウのあらすじ
私立立川学園高等学校に通う主人公の鷹代陽(たかしろ あきら)はバスケットボール部に所属しており、ライバルである久遠瑛士(くどう えいじ)と切磋琢磨していました。
陽と瑛士は幼馴染である未来(みく)に恋心を抱いており、バスケだけでなく、恋愛でもライバル関係にあり、青春を謳歌していましたが、ある日突然大きな地震が襲ってきます。
気を失った陽が目を覚ますと周りは訳の分からない化け物だらけでした
謎の化け物を目の前に必死に逃げる陽は瑛士やクラスメイトらの尻目になんとか学校の外に出ると、大小様々な化け物が街で大暴れをして絶望に暮れます。
果たして、陽は化け物から逃げることが出来るのか?
武重先生の行動から見る人格考察
「ハカイジュウ」には様々な個性派キャラクターが出てきますが、その中でも最も強烈なインパクトを残したキャラクターが武重先生です。
最初は体育教師として特殊生物から逃げる為に人々をけん引しますが、徐々に変態性が解放されていきます。
武重というキャラクターの変遷を書きながら、深掘りしていこうと思います。
- 武重満先生の行動履歴
- ①鷹代、白崎、田所を映画館に招き入れ体育教師である事を紹介
②白崎に強い執着を見せて、彼女を守ろうとする男を殺害し始める。
③体育教師時代に教え子に執拗にセクハラを行い懲戒免職となる。
④化け物と戦うようになりハンマーで化け物を倒す
⑤ヘリコプター内で化け物に襲われ、白崎を助けるため化け物と一緒に飛び降り心中する
⑥ヘリコプターから落下する際に特殊生物に侵食され「フューズ」プロトタイプとして復活
⑦特殊生物に意識を乗っ取られそうになりながらも白崎を見て意識を繋ぎとめる。
⑧対特殊生物本部へ行き、トール型融合して「ファイナルフューズ」を行う。
⑨トール型の特殊生物を駆逐するも顕示欲が溢れ、スカイツリーを引っこ抜き帝王を復活させる
⑩帝王との圧倒的な戦力差に負けそうになるものの自らの体を犠牲にして核に突っ込み帝王を停止させる
⑪帝王とのフューズを行い、地球を救う。
⑫脳みそがナルミによって保管されクローン化させようとする
⑬クローン製造装置によって復活すると人類を全員殺そうとする
⑭完全体として復活し、人類・特殊生物を全てを破壊しようとする
⑮魅央から白崎の記憶が流れ込み、愛に目覚め破壊樹に突っ込んで自爆
序盤ではセクハラ教師として、性欲・暴虐の限りに暴れ回り、ヘイトがMAXに高まる存在になりますが、特殊生物と戦うようになってからはその戦闘力を遺憾なく発揮するようになります。
そして、白崎への歪んだ愛は武重の中で正当化されると同時に白崎の目的と叶える事が愛になるという漫画に趣旨に則った形に代わり、武重の暴力と執着心が人類にとって大きな武器になります。
フューズされてからも図抜けた執着心ゆえに特殊生物に精神を支配される事無く、その暴力性を活かす事が出来る為に戦闘能力は漫画でも突き抜けた存在になります。
最終回では「この漫画の主役は武重満なの?」と思うような情緒溢れる名場面を見せて消えていきました。
作者的にも武重を愛しているのが良く分かるキャラクターでした。
武重満先生の最後
武重先生の最後を解説する上でネタバレを含む場合があります。
まだ「ハカイジュウ」を見ていない方は最初に「ハカイジュウ」を読んで頂くことを推奨します。
武重満、1度目の最後
元体育教師である武重満は変態キャラクター全開で白崎に近寄る男性を殺害したりとやりたい放題ですが、最後はカッコよく描かれています。
戦闘部隊のヘリコプターに乗り込む事に成功した鷹代たち
2台のヘリコプターで政府直轄の機関へ戻ろうとしますが、捕獲していた特殊生物が収納されていた箱を破壊し、戦闘部隊を殺害していく、白崎を襲おうとする特殊生物を庇った武重は自らの腕を切断されながらも、白崎を守るために特殊生物と道連れにヘリコプターから落下
落下する際の「泣くな白崎くん!君に涙は似合わん!我が妃は常に強くなければならんのだ!愛しているぞ、白崎くん!」は作中屈指の名言(迷言)となっています。
武重満、2度目の最後
ヘリコプターから落ちて死んだと思われていた武重は政府の手によって復活を遂げます。
特殊生物と人間の融合体であるフューズ03として復活し、圧倒的な戦力で特殊生物を倒し始める。
対特殊生物本部へ入り、トール型の特殊生物への融合(ファイナルフューズ)を行い、特殊生物のボスである「帝王」の復活を阻止するためにトール型の特殊生物と戦いますが、自らの自己顕示欲によって帝王を解放
帝王に一度は飲み込まれるものの喉を突き破って脱出し、自らの全てを賭けて帝王の核へ突っ込み、己の命を犠牲にして帝王を仕留める。
武重満、3度目の最後
帝王の核へ突っ込んで、命と引き換えに我が身を犠牲にした武重ですが、エボルであるナルミによって脳みそを取り出され、クローン製造装置に入れられたことで三度復活します。
復活した武重はエボルが束になってもかなわない戦闘力を持ち、地球が人類を滅ぼすために生み出した破壊樹と共に人類を滅ぼそうとします。
しかし、魅央を取り込もうとした時に白崎が魅央を出産した時や魅央を庇って亡くなった時の記憶が流れた事で魅央の味方につき、自らの身を犠牲にして破壊樹に突っ込み、破壊樹の破壊する事に成功し亡くなります。
武重満先生の名言(迷言)
ここではハカイジュウの裏主役である武重満先生の名言(迷言)を紹介していきます。
ゆくゆくは2人でここに国を築こう
私が王で君が妃だ!
私の”理想の伴侶”となれ!その資格が君にはある
引用元:ハカイジュウ(3巻)
ザ・ストーカーというような粘着・執着からの妄想爆発と言うような怖い迷言でした。
泣くな白崎くん!
君に涙は似合わん!
我が妃は常に強くなければならんのだ!
愛しているぞ、白崎くん!
引用元:ハカイジュウ(4巻)
白崎を守るためにヘリコプター内にいる特殊生物と共に落下した時の武重先生の言葉
今の私…は…
無敵だ…ぞ!!
引用元:ハカイジュウ(9巻)
「フューズ」プロトタイプとして復活した武重先生の言葉
邪魔者はいらんな
2人だけの世界…
我々はアダムとイヴになるのだ…そのために君以外の全人類を抹殺する!!
1人残らず!!2人で素晴らしい世界を一から創ろう!!
引用元:ハカイジュウ(21巻)
白崎くぅん!!
クローンによって復活を果たした武重の言葉
生きろ!!魅央!!
絶望に立ち向かえ!!
抗い戦い続けろ!!
君たちが新たな世界を築くのだ!!そして白崎くんの遺伝子を決して絶やすな…
引用元:ハカイジュウ(21巻)
何があっても!!
魅央の記憶から白崎の思い出や想いを受け取った後の武重の言葉
白崎直央の行動から見る人格考察
白崎直央の人格を考察する上でネタバレを含む場合があります。
まだ「ハカイジュウ」を見ていない方は最初に「ハカイジュウ」を読んで頂くことを推奨します。
続いて取り上げたいのは作品のヒロイン、白崎直央。
作品の序盤こそ未来がヒロイン的な扱いをされていましたが、ストーリーが続けば続くほどに白崎の存在が強くなっていきヒロインに昇格されており魅力的なキャラクターになっています。
- 白崎直央の行動履歴
- ①生徒会長でクラスで鷹代と数少ない生き残り
②武重に過度なセクハラを受けるが、生き残る為に武重をコントロールしようと励ます。
③ヘリコプターから墜落しながら鷹代の機転で生き残り、鷹代の看病をしながらキスをする
④片目を包帯で巻いた状態で未来・絢士を助けに入る
⑤機関銃、刃物、盾など特殊生物以上の戦闘力を見せる
⑥対特殊生物の本部へ乗り込み鷹代と再会するも、自らの想いは封印して未来との鷹代の縁を優先させる
⑦帝王と戦うファイナルフューズした武重に対して「行ってらっしゃい」と涙を流して後押しする
⑧帝王によって日本列島がほぼ壊滅した状態で魅央と直輝を出産。
⑨クローンとしてクラスター7の中で魅央、直輝の母親として生かされる
⑩魅央を庇うために鉄骨に刺さり死亡する
白崎の魅力は何と言っても「凛とした強さ」と「聡明さ」
一番最初は教室の中で襲われ怯える事しか出来なかった白崎直央ですが、徐々に芯の強さを発揮。
武重に執拗なセクハラを受けながらも現状を脱しようと人間関係を壊すことなく、自らを律して武重をコントロールするべく行動をしっかり取り始め視野の広さと頭の良さを見せてくれます。
立川辺が終わって、絢士編になってからの白崎は武力的にもたくましさを発揮
片目を包帯で巻き、目が見えない状態になりながらも絢士や未来を助ける強さを発揮すると同時に、鷹代陽に未来を会わせてあげたいという「独りよがりではなく、真に相手を思いやった愛情」を見せたところで完全にヒロイン確定のランプが点灯します。
復活した陽を見た時に未来よりも早く陽に抱きついたシーンはジーンときましたが、ここで未来は自らは身を引くべきだと決意させており、最後は陽と二人の子供(魅央と直輝)を授かりました。
魅央は母親譲りの強さを持っており、白崎直央はハカイジュウのヒロインという感じでしたね。
狂気と絶望が襲いかかる――“破壊獣”の正体をその目で見よ!
「人間は、ここまで追い詰められるとどうなるのか?」
想像を絶するグロ描写、容赦なきサバイバル、そして暴かれる“人間の本性”。
🔪「ハカイジュウ」は、ただの怪物漫画じゃない。
極限状態であらわになる人間の狂気と、命をかけた選択の連続に、ページをめくる手が止まらなくなる――。
武重先生の“あの行動”の真意は?
白崎の裏にある「もう一つの顔」とは?
そして最終回、明かされる特殊生物の正体に戦慄が走る…!
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まとめ
『ハカイジュウ』に登場するキャラクターたちは、良くも悪くもぶっ飛んでいます。
その中でも裏主役である武重先生の狂気に満ちた言動・行動は作品を大きく盛り上げてくれました。
一方、白崎のクールさや冷静な判断力には、惚れる読者も続出したのだとか。
パニックホラーの面白味だけでなく、キャラクター良さが『ハカイジュウ』の魅力ですね。
怪物の恐怖だけでなく、人間そのものの怖さ――その描写こそが本作の真骨頂でしょう。