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1998~2001年に「週刊ヤングサンデー」にて連載された大人気漫画「殺し屋1(イチ)」で最もインパクトのあるキャラクターだった垣原について考察してみました。
垣原の変態名言録(迷言)、垣原の最後はどうなったのかを分析していき、ド変態キャラクターである双子についても分析します。
また映画版と漫画版のラストの違いについても考察していきたいと思います。
初版発行日 | 2007年4月発売 |
作者 | 山本英夫 |
巻数 | 全10巻(コミックス) |
ジャンル | サスペンス、バイオレンス |
Wikipedia | 殺し屋1(イチ)のWikipedia |
殺し屋1(イチ)のあらすじ
新宿を舞台にヤクザ同士の抗争を描いた作品。
謎の「ジジイ」一派に雇われた殺し屋1(イチ)が、新宿のヤクザ安生組の親分を暗殺するところから物語はスタートします。
ジジイ達の巧妙な後処理によって死体を処理されたことで、安生組長は生死不明の行方不明状態になり、安生組の若頭である垣原は安生の行方を必死に追う中で、知っていく殺し屋イチとジジイ一派の存在。
果たして、ジジイ・イチ・垣原の戦いはどのような結末を迎えるのか…
殺し屋1(イチ)のラスト(最終回)
「殺し屋1(イチ)」の最終回あらすじについて解説します。
以降はネタバレを含みますので「殺し屋1(イチ)」を読んでから見て頂くことをオススメします。
「殺し屋1(イチ)」の各巻あらすじ、格安で読む方法については以下で解説しています。
宿敵であった垣原を遂に仕留めたイチは拠点としていたマンションの一室に戻り、自慰行為に明け暮れていました。
イチのいる部屋には立花と名乗る女性から電話があり、立花はイチと会いたいと言い会う約束をします。
そんな立花の正体は垣原の味方をしていたキャバ嬢のカレン
そのカレンを唆していたのは、イチを動かしていた”じじい”でした。
じじいは今まで仲間だった昇、龍、井上も含めて、安生組全員を殺害しようと最初から計画をしていました。
そしてじじいはイチに連絡をしてカレンを殺すよう指示し、イチの元に行ったカレンも殺害させます。
カレンも殺害させ全ての計画を終了させたじじいは今後もイチを使って自らの計画を実行させようと目論む一方で、もう一人の殺人マシーンを育てるためタケシという少年に近づきます。
そして、三年後
じじいは相変わらずヤクザマンションで暗躍をしていましたが、イチは新宿に移住し、生活したことから殺し屋としての機能を完全に失っていました。
イチを失ったじじいはタケシを新しい駒として暗躍しています。
ここで場面は変わり、イチが女の子をナンパするシーンへ…
ナンパが失敗してしまったイチはヤクザに絡まれ、ヤクザに殴られそうになります。
殴られそうになったイチの泣き顔が描かれ、物語は終了となります。
垣原のラスト(最期)を考察
垣原のラストは漫画版でも映画版でもちょっとした謎を残した形で締めくくられています。
双方のラストの状況を振り返った上で心情などを考察していきたいと思います。
以降はネタバレを含みますので「殺し屋1(イチ)」を読んでから見て頂くことをオススメします。
「殺し屋1(イチ)」の各巻あらすじ、格安で読む方法については以下で解説しています。
漫画版の垣原のラスト(最期)を考察
- 垣原ラスト(最期)の描写
- 垣原を仕留める為に部屋に忍び込んだイチ
昇、二郎、三郎、金子を圧倒的な力で倒すと宿敵である垣原と対峙します。
圧倒的なまでのイチの戦闘力に押される垣原ですが、持っているテクニックと武器である針を利用して攻勢に出ます。
しかし、スイッチが入ったイチの前に垣原の攻撃は通用しなくなっていきます。
ドMで心身を痛めつけられる事に快感を覚える垣原ですが、イチの戦闘力に震え、背中を向けて逃げ出します。
追撃するイチによってマンションから放り出されそうになったイチは塀を掴んで必死に落下を拒否しますが、イチの攻撃によって指三本を切断され、最後は鶏の糞によって指が滑り落下。
転落死してしまうのでした。
構図としては垣原が圧倒的な戦闘力を持つイチによって殺害されてしまったという形にはなるのですが、一つだけ謎の描写があります。
それは『ドMで自分の体を傷つけられる事に喜びを感じる垣原がなぜイチの攻撃を受けようとせず、途中から痛みを苦痛として感じるようになり、背中を向けて逃げ出してしまったのか』という点
私の解釈は以下の通りです。
自らの体を傷つける事に快感を覚えた垣原は最初はイチの暴力により傷つけられる事を喜んでいたが、自らの死期が迫っている事を感じ、苦痛(快感)を感じられない未来に恐怖した。
その恐怖によって苦痛=快感ではなく、苦痛=死へ近づく恐怖の対象と変わってしまい、痛みを痛みとして感じるようになり、苦痛や恐怖をシンプルに感じるようになった。
可能な限り簡単に考察結果を表現をしてみましたが、そもそもの垣原の精神構造を理解できないので難しい面はありますね。
「殺し屋1(イチ)」を数回読んだ中で私が出した考察結果でした。
映画版:殺し屋1(イチ)のラスト(最終回)
垣原を仕留めるべく手下を殺害しながら迫るイチ
屋上に逃げる垣原に対してイチは襲い掛かり、金子がイチによって殺害されます。
なんとかイチの攻撃を逃れる垣原はイチの足に針を刺し、形勢を逆転させるとイチは泣きじゃくります。
屋上に上がってきた金子の子供は泣きじゃくるイチに暴行を加える中、垣原は手に持った針を自らの頭の中(脳)に差し込みます。
意識を戻した垣原の前には金子の子供の生首を持ったイチの姿
足を引きずりながら近づくイチが繰り出したかかと落としが垣原の額に直撃し、ぱっくりと割れると追撃の蹴りによってマンションの柵の上まで飛ばされます。
踏ん張り続ける垣原ですが、最後は踏ん張り切れずにビルから転落し、死亡します。
ジジイは転落した垣原の死体を確認すると垣原の頭には割れた後がなく、イチに殺害されたはずの金子の子供が生きておりイチを蹴っている姿が描かれます。
そして、シーンが変わり首を吊ってる一人の人物が描かれます。
その人物の前にいた少年が振り向いたところで殺し屋イチは終了となります。
映画と漫画のラストの違い
「殺し屋1(イチ)」は映画版と漫画版では大きな違いがあります。
特にエンディングの部分で違いが顕著に見えるのですが、違う点を挙げていきたいと思います。
以降はネタバレを含みますので「殺し屋1(イチ)」を読んでから見て頂くことをオススメします。
「殺し屋1(イチ)」の各巻あらすじ、格安で読む方法については以下で解説しています。
殺し屋イチ、映画版と漫画版の違い
・ジジイの野望の結末
・垣原の死に際の心理状況
・イチのその後
ジジイの野望の結末
「殺し屋1(イチ)」の映画版と漫画版結末の一番の違いは「ジジイの最期」です。
漫画版ではジジイの独り勝ち状態。
イチを使って安生組(垣原達)を全滅させて、味方につけたクズたちも一掃する。
安生組崩壊後はイチこそ駒として使えなくなるが、代わりにタケシを駒として今後も新宿で暗躍していくさまが描かれます。
映画版ではタケシによって殺害されてしまう最期
正確にジジイだと断定できるような描写ではないのですが、バックボーンから考えるとジジイが首吊りをしているような描写がなされており、自分本位な野望を達成したジジイにも罰が下るようになっています。
垣原の死に際の心理状況
垣原はビルから転落して死亡するという結末は変わらないのですが、映画版ではちょっと不可解な死に方をしています。
映画版の垣原は、自らの武器でイチを追いつめて勝利が目前になった状況で自らの耳に針を入れます。
すっと暗転するとイチが足を引きずって垣原の元へと向かい脳天に刃物をぶっ刺されたうえで、ビルの上から転落をして死亡します。
しかし転落後、ジジイが垣原の死体を確認すると脳天の傷がなくなっているんですよね。
おそらく自らの耳に針を入れた後、垣原は妄想(幻覚)の世界に入ったのかなと考えられ、実際イチに攻撃されてビルから転落したのか、自殺のような形でビルから転落したのかが分かりません。
その点から映画版の垣原の方がカッコよく描かれている印象です。
イチの結末
主人公であるイチの結末も漫画版と映画版では違っています。
漫画版では殺し屋稼業を卒業して、一般人となってしまったイチ。
最後のシーンでは饒舌に女性と話しているシーンが描かれており軟派な今どきの青年になっています。
一方の映画版ではイチのその後が明確に描かれていません。
垣原にとどめを刺したのは果たしてイチなのか…
そのあたりをボカすためにイチの結末が曖昧になっているのかなと考察します。
垣原の名言(ドMの迷言)
変態キャラクターが揃う「殺し屋1(イチ)」の中で最も変態であるキャラクター垣原。
裏の主役と言えるドMキャラクターで様々な名言や迷言が飛び出しています。
ここでは垣原から飛び出した個性豊かな名言を紹介していきたいと思います。
痛みってのは感じるモンだ。いわば味わうってことだ。
引用元:殺し屋イチ 第1巻
喜びの裏側になる偽物の苦しみ…
組長を行方不明にさせた時、手下に対して罰(拷問)を与える時の垣原
これほどのマゾは世の中にいるのでしょうか?
と思えるほどの達観した言葉になっています。
自分は大の甘党なんですが、ワビに甘いもんを断たせてもらいます。
引用元:殺し屋イチ 第2巻
ジジイに踊らされて鈴木の体をボロボロにするまで拷問してしまった事に対する落とし前をつけるために舌を切る前の口上として吐いたセリフ。
自分で自分の舌を切りながら勃起している垣原の姿は変態度100%、名言というよりも迷言に近い形ではありますが、垣原らしい言葉だったので載せてみました。
今、ビビんなかったの、その犬だけですよ。
引用元:殺し屋イチ 第4巻
垣原がヤクザの組合である◎◎会を抜ける際に拳銃を抜く振りをしてバッジを返却した時の垣原の言葉
覚悟を決めている男の迫力に満ち溢れた名言です。
決して暴力に思いやりを持っちゃいけねぇってのに…
引用元:殺し屋イチ 第5巻
暴力によって喜びを感じる垣原
その暴力は優しさが加わると気持ちが良くないという意味かなと思いますが、気持ちが全く分からないのであくまで私の想像です。
オレはイチに殺されないよう、最大限の努力をするだけだ。
必然性を失ったら、SMは成立しない…
引用元:殺し屋イチ 第5巻
オレはあくまでもイチに殺されたくない、という前提があって、初めて絶望感が生まれてくるんだ。
イチに狙われてんのが分かった以上、オレはイチに殺されない努力をしなきゃならねぇってことだよ。
引用元:殺し屋イチ 第6巻
2つ紹介しましたが、垣原のSM感が分かる名言(迷言)です。
痛めつけられるのは好きだけど、演技ではなく本気で痛めつけてほしい。
ということなのでしょうか…、しらんけど。
オレを絶望させてくれるヤツなんて、いやしねぇんだ…
心から叫んだり喚いたりできるまで、オレを追いつめてくれるヤツなんて、今まで誰一人いやしなかった。
引用元:殺し屋イチ 第8巻
イチによって高山、二郎を殺害された後の垣原の心情を吐露した名言です。
究極のドMでありながら、あまりの強さに本当に追いつめてくれる敵に出会えなかった垣原
未知の強敵に出会えた歓びが良く伝わる名言になっています。
オレの求めていたのは…
こんなヤツじゃねぇぞ!
引用元:殺し屋イチ 第9巻
人間の暴力ってのは…
100%の力を出し切ることなんてできっこねぇハズだ。特にオスは知っている…
傷つけ合うことの愚かさ…
相手を思いやる気持ち…
相手を憎む思い…相手が存在するからこそ発生する、すなわち…、愛…
オマエにはそれが全くない!愛がない故に美しい…
美しさがない故に…
愛がある!まさに聖人だけが持っている矛盾!!
待っていた…
引用元:殺し屋イチ 第9巻
オマエみたいな変態を…
イチと初めて出会った時の垣原の心境を吐露した名言です。
ひ弱な坊やだった事に最初は落胆しますが、過去のトラウマを引き金にして妄想の世界に入って100%の暴力を発揮してくるイチに対して、その強さと変態性を認めて歓迎する垣原の心情が良く描かれていますね。
やっと見つけたのに…
こ、これで…
終わり…?ヤダよ~!!
引用元:殺し屋イチ 第10巻
自分へ十分な暴力を与えてくれる相手を見つけた垣原
しかし、イチがあまりに強いため自らの命が消えてしまう事に対して絶望している垣原の断末魔
自分を一番喜ばせてくれる相手に出会ったのにもう出会えなくなってしまう。
SM狂でなければ、こんな事態にはならなかったのでしょうが、垣原にとって幸福であり、不幸な出会いだったと言えますね。