漫画【テセウスの船】考察!事件の動機は?なぜみきおは凶行に及んだのかを考える

漫画【テセウスの船】考察!事件の動機は?なぜみきおは凶行に及んだのかを考える

加藤みきおは、生まれながらの「殺人犯」だったのだろうか。

漫画『テセウスの船』で、音臼小学校無差別殺人事件を引き起こした犯人加藤みきお。物語では、その凶行に至った経緯やみきおの歪んだ感情が描かれています。

「なぜ、みきおはここまでの事件を起こしてしまったのか?」

  • 悪人だったから?
  • 生まれながらの殺人鬼だった?

そんな単純な話でないことは物語を読んだ貴方には分かるはず。

もし、みきおが別の環境で育っていたら…
もし、人生のどこかで別の誰かと出会っていたら…

それでも、みきおは同じ犯罪を犯していたのでしょうか?

この記事では、みきおの過去や人格形成に注目しながら、「なぜみきおは凶行に及んだのか?」そして「どうすれば事件を防ぐことができたのか?」を考察していきます。

「テセウスの船」とは?

初版発行日‎‎2017年9月22日発売
掲載雑誌モーニング
出版社講談社
作者東元俊哉
巻数全10巻(コミックス)
ジャンルサスペンス
Wikipedia「テセウスの船」のWikipedia

2017年にモーニングに掲載された後、2020年ではTBS系列でドラマ化。竹内涼真さんが主演を務めて大ヒットしました。

漫画版とドラマ版は犯人が異なり、それぞれ楽しめる作品になっています。

漫画版のあらすじは以下で解説しています。

事件の犯人・加藤みきおとは?

音臼小学校での無差別殺人実行犯である【加藤みきお】

みきおは鈴と同じ小学校5年生の子供。もともと小樽出身でしたが、家庭環境が悪かったことから祖母が済んでいる音臼村に引っ越し、祖母と2人で暮らしていました。

表向きは明るく社交性のある子供でしたが、絵を描かせると〈人を殺す描写〉〈人物を塗りつぶしたような描写〉が多く、心の闇が投影されています。

犯行動機と言えるみきおの過去

加藤みきおが犯行を企てた直接の動機、それは「鈴への異常な執着と好意」でした。

みきおは普段の生活でも鈴への好意を小出しに伝えていましたが、鈴が「お父さんが1番カッコイイ」と話したことをきっかけに、父親である佐野文吾を激しく逆恨みするようになります。

佐野文吾を凶悪犯に仕立て上げて鈴を絶望させ、そのうえで自分が鈴を救い出すヒーローになれば、きっと自分に振り向いてくれるはず。

これが、みきおが描いた恐ろしいシナリオです。

「好きな人に振り向いてほしい」「好きな人の一番になりたい」「他人に嫉妬してしまう」といった感情自体は、恋愛をすれば誰もが抱く自然なものです。

しかし、その感情を抱いたときにどう行動するかに、その人の人間性が表れます。

みきおの場合、その《好意の出口》が[他者を排除し、惨劇を起こすこと]となってしまいました。では、なぜ彼はこれほどまでに歪んだ行動をとってしまったのでしょうか。

過去の出来事がみきおの人格に及ぼす影響

みきおの歪んだ感情が残忍な凶行へと暴走してしまった根底には、彼が送ってきた不遇な幼少期の家庭環境が大きく関係していると考えられます。

作中で多くは語られませんが、彼は幼少期に両親と離れ、祖母と2人で暮らしていました。この家庭環境の背景には、日常的な家庭内暴力(DV)や深刻な虐待が存在していた可能性が極めて高いのではないでしょうか。

幼少期における過度なストレス、愛情の欠如、そして日常的に暴力に晒され続けた体験は、幼い子供の精神形成に決定的な歪みをもたらします。

  • 共感性の欠如と歪んだ全能感
  • 恐怖や痛みに鈍感になる感覚の麻痺
  • 怒りや支配欲を外にぶつけることでしか自分を保てない心理

これらが複雑に絡み合った結果、みきおの中で[他者の命を奪うこと]に対する道徳的ブレーキが壊れてしまったのだと考察します。

不遇な過去によって人格が歪んでしまったみきおにとって、殺人や一連の工作は、欠落した自分自身を満たし、世界を支配するための恐ろしい手段だったのでしょう。

みきおは「生まれながらの犯罪者」だったのか?

加藤みきおの凶行を見ると、『彼は生まれた時から怪物(サイコパス)だったのではないか』と考えてしまいたくなります。

ただ、私は『生まれながらの犯罪者など存在しない』と考えています。

もちろん、生まれ持った感情の起伏の激しさや、衝動性の強さといった遺伝的な気質は影響しています。しかし、それ以上に、彼を取り巻く「環境の力」が彼を怪物へと仕立て上げてしまったのだと考えています。

仮にみきおが、温かい愛情に満ちた平和な家庭で育っていたなら、決してこのような犯罪者にはならなかった可能性が高いはずです。

どうすればみきおは犯罪を犯さなかった?

不遇な過去を持つみきおの暴走を止める「分岐点」はなかったのか。彼が犯罪を犯さずにすむ方法を考えると、彼個人の心の問題だけでなく、周囲の環境や構造的な問題が見えてきます。

惨劇を防ぐために必要だったと考えられるのは、主に以下の2つのポイントです。

毒物を手に入れられてしまう異常な状況

みきおはパラコートという毒物を使い、犯行に及んでいます。

このパラコートは長谷川翼が婚約者の佐々木紀子に暴力を振るい、勤め先の工場から無理矢理盗ませたもの。そして、2人は自由恋愛で付き合い始めたのではなく、村の圧力で無理やり結婚を決めさせられたという歪んだ環境(背景)がありました。

今回の犯行は、みきお個人の問題だけでなく、村全体(社会)の歪みが凶器を手にする隙を与えてしまったと言えます。

優等生の裏にあるSOSを見落とした環境

みきおは表向き「手のかからない良い子」を演じていたため、心のケアは極めて困難でした。

しかし、例えば図工の時間に描いた不気味な絵など、彼が発していた「わずかなサイン」を大人が拾い上げ、専門的なアプローチができていれば、未来は変わっていたかもしれません。


余談ですが、一部では「鈴がみきおを好きになっていれば事件は防げたのではないか」という意見もありますが、私はこの説には反対です。

理由は、他者の好意で犯行を抑止しようとする考えは、みきおの「相手を所有したい」という歪んだ支配欲を肯定することにしかならないから。


みきおが犯行に至ったのは、決して「生まれつきの悪魔だったから」ではありません。

不遇な生い立ちによって心に傷を負った少女・少年が、適切なケアも受けられず、凶器や機会が手に入ってしまう環境に置かれたから、凶行へと走ってしまった。

『テセウスの船』という作品は、そんな人間の弱さと環境の恐ろしさも表現している作品ですよね。

コミックシーモアで『テセウスの船』を全巻読む

【PR】「テセウスの船」というタイトルには、いったいどんな意味が込められているのか?

この記事を読んで、その答えが気になった方は、ぜひ一度漫画『テセウスの船』を最初から最後まで読んでみてください。

『テセウスの船』は、単なるタイムスリップミステリーではありません。

物語を最後まで読み進めることで、「テセウスの船」というタイトルが意味するものや、作品を通して描かれている「人間は何によって同じ人間だと言えるのか」というテーマが、より深く見えてきます。

「解説だけではなく、自分で物語を読んで確かめたい」

そんな方におすすめなのが「コミックシーモア」です。

コミックシーモアなら、スマホやタブレットなどで『テセウスの船』を読むことができ、全巻まとめて読みたい方にもおすすめ。

紙の漫画を買いに行く必要もなく、読みたいと思ったそのときにすぐ読み始められるのも電子コミックの大きなメリットです。

もちろん『テセウスの船』だけでなく、コミックシーモアではさまざまなジャンルの漫画を楽しむことができます。

「テセウスの船」というタイトルの本当の意味を知りたい。

そう思った方は、ぜひ原作を全巻読んでみてください。

物語の結末まで読んだあとに、もう一度「テセウスの船」というタイトルを考えてみると、この作品の見え方がきっと変わるはずです。

『テセウスの船』を全巻読むなら、コミックシーモアでチェック!

この記事の監修者

ギャンラブ管理人モト

蒼井ユウ|漫画考察ライター/元週刊誌編集者

週刊漫画誌の編集部にて10年勤務。構成・キャラ分析・伏線回収など「読者が見落としがちなポイント」を深掘りする記事を執筆中。

書籍『漫画から見る人物観察学』出版予定。

運営者情報を見る

コメントを残す

メールアドレスが公開されることはありません。 ※ が付いている欄は必須項目です

CAPTCHA